令和5年4月1日現在、日本の水道事業体は1,297団体あり、その中で一般家庭において10㎥使用した際の水道料金を比較した場合、登米市の水道料金は高い順番で26番目、宮城県内では4番目となっています。
一般家庭で、一ケ月、10m3(立方メートル)使用した場合(税込み)
登米市の水道料金 |
全国平均 |
全国最高 |
全国最低 |
全 国 ① |
1,611円 |
3,550円 |
374円 |
登米市 ② |
2,790円 |
||
登米市との差 ① – ② |
-1,179円 |
760円 |
-2,416円 |
なぜ登米市の水道料金は他の事業体と比べて高いのでしょうか?
その理由としては大きく3つあります。
水道に使用する水源は「安全で安定していること」が必要です。つまり、水質や水量が時期によって大きく変化・増減しない水源のことです。理想的な水源は水質が良く、水量が安定している地下水といわれています。(☆水質が良い=薬品や電気などを使って水道水をつくる費用が少なく済むため ☆地下水である=その水源の近くに施設を作れるので施設に係る費用が少なくて済むため)
登米市には、水質・水量が安定した地下水源が無く(市内の浄水場によっては地下水を水源としていますが、水量は少なく不安定です。)安定した水源は北上川に求めなければなりませんでした。 現在、保呂羽浄水場は登米市内の水道水の約85%をまかなっています。
しかし、河川の水は水道水を作るコストが高くなるため水道料金を高くしている一因となっています。
登米市の面積は概ね東京23区の面積と同じですが、人口は1/130(百三十分の一)以下となっています。
登米市は人口が少ないことに加え、広い区域に点在していることから、水道管の長さは長くなり、一人当りの施設の建設や維持に係る費用は、他の団体と比較して大きくなります。また、他の団体に比べて大口の使用者が少なく、給水をしているうちの約98%は小さな口径が占めているという特徴もあります。
水道事業の経営は「水道料金で経営する」すなわち「独立採算制」が基本ですので、施設の建設や維持管理に要する費用に対して使ってもらえる人(水量)が少ない場合は、水道料金を高く設定し、費用の回収を行わなければなりません。
このように、登米市は人口密度が低く効率的に給水できない環境にあることが、水道料金を高くしている一因となっています。
登米市水道事業所の前身である「登米地方広域水道企業団」は、昭和49年に登米地域7町(迫、登米、中田、豊里、米山、南方、本吉郡津山町)によって創設されました。
このとき、保呂羽浄水場をはじめ主要な施設の建設費の90%を、国からの借金(企業債)でまかないました。当時は、各町からの資金持ち寄りも少なく、国の補助制度もなかったことが、借金をしなければならなかった理由です。
この借金の返済は、水道料金でまかなうことに加え、現在は創設時の企業債は既に償還し終わってはいるものの、当時の企業債は年利7%台と利率が現在より高かったことに加え、安定した水の供給を目指して老朽化した施設の更新に努めていることから、建設改良の企業債がかさみ、元金はもとより支払利息が高額になっていることも、水道料金が高額である一因となっています。
令和4年度の決算では、皆さんからいただいた水道料金は次のように使われました。費用の54.7%が「資本費」で、資本費は資産の「減価償却費」と「企業債(借金)の利息」です。
また、「人件費」と「委託料」を合せると29.0%となっていて、施設を活用し安全な水を安定的に送るためには、人の力も必要なことが分かります。変動費は、水道水を作るための電気料金です。
このように、水道料金は、安全な水を安定して供給するために使われています。
登米市の水道施設の耐震性を全国平均値と比較してみました。(令和4年度の数値)
施設 |
登米市 |
全国平均 ※ |
基幹管路の耐震化割合 |
62.7% |
27.4% |
基幹管路の耐震適合率 |
76.5% |
41.2% |
浄水施設の耐震化率 |
88.3% |
39.2% |
配水池の耐震化率 |
81.8% |
62.3% |
※全国平均は令和3年度の数値
水道の動脈である「基幹管路」の耐震管は全国平均(27.4%)を約35.3ポイント上回る62.7%、耐震管に準じる耐震性を持つ管路を含めた耐震適合率は全国平均(41.2%)を約35.3ポイントを上回る76.5%となっています。また、浄水場などの浄水施設は全国平均(39.2%)を49.1ポイント上回る88.3%、配水池は全国平均(62.3%)を約19.5ポイント上回る81.8%となっています。
このように、登米市の水道施設の耐震性は、他の水道事業体と比較して優れています。
登米市の水道は、他の水道事業体と比較して水道料金は高いものの、安全と安定については全国平均を大きく上回り、水道料金が施設の安全と安定を高めるために使われていることが分ります
日本の水道事業の多くは、人口の減少などにより水道料金の収入が減少する傾向にあります。収入が減少していく中で、どのように水道施設の安全と安定を確保していくかが、水道事業の大きな課題となっています。登米市では、健全な経営基盤を構築し、将来にわたり安全な水道水を安定して供給する体制を継続するため、令和5年9月に水道料金の改定を行っております。
登米市はこれまで水道施設の更新を計画的に行ってきました。今後も厳しい情勢の中で安全な水を安定してお届けできるように努めてまいります。
登米市上下水道部 〒987-0702 宮城県登米市登米町寺池目子待井381番地1